バージニア・リー・バートン「ちいさいおうち」原画展〜オススメ絵本〜
癒しと目覚めの透視セラピスト「魂の子育て」ナビゲーター
たかもり くみこ です。
今回はアメリカのバージニア・リー・バートン作「マイクマリガンとスチームショベル」
の絵本を読むたび、胸がいっぱいになり(全く感動モノではありません、ちなみに。)
声がいつもと違ってしまうので、
子どもから「なんでママは、絵本で泣いちゃうの!もう!」と言われていたこの本。
(自分が絵本の世界に浸りたいのに、私の声が震えるので、浸りきれないことに、
怒っていたかと思われます むずかしー汗)絶賛オススメ中の理由をいくつか書いてみました。
*絵本「ちいさいおうち」by バージニア・リー・バートン
先日、東陽町で開催中の、バージニア・リー・バートン「ちいさいおうち」原画展に、
夫と二人で行ってきました。
(8/9まで開催中 日・祝お休み https://www.cinra.net/news/20170527-virginialeeburton)
「ちいさいおうち」との出会いは、長男が1歳の頃からお願いしていた、
長崎のぶっくくらぶ「童話館」の通信と配本だったように思います。
以来、なんとも言えない、温かで可愛い感じの擬人的なユニークな絵や、文章の配置、
そして、作者バージニア・リー・バートンの独自の世界観に家族みんなが
魅了され続けています。
*バージニア・リー・バートンの世界観
これは、勝手な私の想像。手元に当時の「ぶっくくらぶ」通信はありませんが、
当時の「ぶっくくらぶ」編集長の 故・川端さんの文章から影響を受け、
受け取ってきたものもあると思います。
そして、私個人的に、作者の世界観を一番表していると感じるのが、
「マイク・マリガンとスチームショベル」
*男性性と女性性の共同創造
特に男の子は、みんな好きになる絵本だと思いますが、女の子も(ママも)十分、
楽しめる本だと思います。スチームショベルという機械を扱っているものの、
所有者のマイクマリガンとの関係性でいうと、女性的な位置づけ(メアリ・アンという
スチームショベルにつけられた名前からも)であり、そこには、男性と女性が
協力しあって共同で世界を創造していく、という普遍的な法則が現れてもいるからです。
*変化し続けていくもの、というメッセージ
マイクマリガンは、スチームショベルのメアリアンと、その時代を文字通り、
作ってきたことが描かれています。
道路や、運河、飛行場、ビルの地下室、を他に働くひとたちとともに、
次々作ってきた実績が山ほどあるにもかかわらず、いつのまにか、
新式の機械にとってかわられていく、時代の移り変わりの容赦のなさと
切なさを表現しながらも、時代は常に変化し続けていくもの、というメッセージも
「ちいさいおうち」と同様、伝えています。
*「自分の居場所があるはず!」思い切ってチャレンジしていく
時代に淘汰されつつありながらも、マイクマリガンとスチームショベルの人生(機械生?)
すべてをかけた、最後のチャレンジに出かけていく姿も、勇気をもらえます。
ただ、意気消沈して、時代の流れを嘆くだけでなく、
「きっと自分たちの居場所があるはずだ!」という、
明るく強い信頼のもと、目的地目指して旅を続けます。
自分たちが作ってきた運河や線路、ハイウェイや、飛行場や大きな町を通り過ぎていく、
二人(?)の気持ちは、どんなものだったのだろう、と想像する空間がそこにあります。
行動の事実だけを述べているにもかかわらず、二人の心情
ーそれを作ってきたことを誇りに思う気持ち、表舞台から去っていく寂しい気持ち、他
が、行間、挿絵から自然と伝わって来るシーンです。
大人は、多少ノスタルジックな気持ちになりますが、子どもたちは、未来に向けての次の展開を
楽しみにしているように感じます。
*いざ、勝負!を挑むカッコよさ
目的の場所に着き、話し合いをしているところに、
「このスチームショベルのメアリ・アンなら、1日で掘ります!
もし、1日で掘ることができなければ、お金は要りません!」
と、人生のすべてをかける、カッコよさ!
現実では、なかなか難しいことはたくさんあるでしょう。
けれども、誰もが憧れるこのマイクマリガンのような生き方のカッコよさが
こういう場面で、自分の心の奥に、ストックされていくのだと思います。
生き方への憧れ、人間としてのカッコよさが自然と立ち上がってくる瞬間と
いえると思います。
その反対に、ちゃんと、ほんの少し、ずる賢さを持つお役人も登場させています。
少しでも穴をただでほらせることができる「うまい」話だと、にやりとさせています。
カッコよさ=光、を利用する影、もあり、世の中には、光と影があることを、
こういう形で伝える細やかさがあります。
*小さな子どもにも「できることがあるよ!」というメッセージ
特にこの絵本の中で、印象的なのは、小さな男の子の存在です。
マイクマリガンとスチームショベル、メアリアンの大仕事を、
きっと、好奇心から見に来て(男の子は、工事現場の機械が動く姿は何時間見ていても
飽きないようですから)
でも、「見ている人が多ければ多いほど早く上手に掘り進める」とマイクから聞き、
たくさんの見物人を連れてきて応援する、という大事な役割を担っています。
そこに小さな子どもに、「できることがあるよ!」というメッセージも
ちゃんと織り込まれています。大人の仕事の中で、子どもが役に立てる喜びを、
絵本を読んでもらっている子どもたちは、純粋に感じ取っているだろうと想像します。
*丁寧に仕事をしていくことへの誇りと、その尊さ
1日で地下室を掘る、ということで、ますます早く掘っていくマイクマリガンと
スチームショベルのメアリアン。時間がどんどん過ぎていき、登場人物たちも、
読者も焦りを感じますが、ちゃんとこんな描写があります。
「マイクとメアリは、ふたつめの かどを きちっと 4かくに ほりあげました。」
「マイクたちは、3ばんめの かどを ほりおえました・・・きちっと4かくに。」
中略
「どのかども・・・きちっと 4かくに、
どのかべも・・・まっすぐに きりたって。」
どれだけ急いでいても、丁寧に、きちんと仕事をするマイクたちへの尊敬の思いが
現れてくる場面です。同時に、仕事というのは、こういうものなんだ、という
子どもたちなりに、うっすらとしたイメージが感じられるシーンでもあります。
*「思ったことを言葉にしていいんだよ」子どもという存在へのエール
「どうやって、そこから出るの?」
1日で掘り上げてしまったことに大歓声をあげた見物者たちと、
掘りあげることに必死だったマイクとメアリアンが、掘った穴から出られないことに対して、
素朴な疑問を投げかけたことをきっかけに、大人たちは、大議論。
この絵本が出来た当時は、第2次世界大戦前後。
いくらアメリカといえども、子どもが自分の意見を自由に言う空気は、
それほどなかったに違いありません。
子どもという存在を、深く大きく理解していた作者だからこそ、
子どもが、時に本当に鋭く、本質を捉えて表現する力を持っていることに、
早くから気づき、敬意を抱いていたのでしょう。
ここでも、「子どもも思ったことを素直に口にしていいんだよ」という、
作者の、子どもという存在への温かなエールが感じられます。
*小さな子どもの愛と智恵が大人を明るく照らし、導く
「ところが、それまで たいへん しずかにしていた あの おとこのこが、
また いいことを かんがえつきました。」
この前の場面で、大人が、お互い議論を重ねて結論を導き出そうとしているのに対し、
小さな男の子が、自分の心の静けさの中で、インスピレーションを受け取ったように
描かれているのが印象的です。瞑想、とか、直感、とか、まだそんな言葉が、
普通であったとはとうてい思えない時代背景ではあるけれど、作者自身、
そうしてインスピレーションを受け取って絵本を描いていた時もあったかもしれない、
とも思います。
そして、その提案というのが、誰もが幸せになる、愛と智恵溢れるアイディアで、
大人たちは、全員その提案に賛成し、町のみんなが喜ぶものだった、ということ。
時に子どもは、誰にとっても良い考え、みんなを幸せにする考えを言ってくれることが
あります。もちろん、現実的には難しいこともあるし、実現不可能なアイディアの場合も
あります。けれども、この小さな男の子のように、「誰かだけじゃなく、全員を幸せにしたい。」
という気持ちを感じる場面は、子育てのシーンでもたびたび訪れたりします。
「ママだけじゃなくて、パパも一緒に行こう!」「みんなで行こうよ!」
「みんなで食べればいいじゃん!」とかとか。
困る提案もたくさんあるけど、子ども的には、「みんなで一緒に楽しくなりたい」
という、家族への愛、だったりするわけです。
(もちろん、日常では、”自分が〜〜!!”とか、”自分の〜〜!!”とか、
そうでないことのほうが多いのですが。)
*まとめ 楽しみ方はそれぞれ
と、私の胸いっぱいになるポイントをいくつか書いてきましたが、
これは私の涙腺刺激ポイントなので、子どももそれぞれ、大人もピンと来る人、
こない人、いろいろだと思います。
作者自身、絵本を読んで聞かせて子どもたちのリアルな反応を見ながら、絵本を作り上げていった、
という、意外と現実的な方だったようなので(原画展のビデオの中でのコメント)
少なくとも、お子さんのツボに入りやすい絵本だと思います。
図書館や、本屋さんで、ぜひ手にとってみてください^^
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残念ながら、新刊は今、手に入らないみたいですーショック・・